大きな襟の付いたセーラーの上着に細くフワリと広がるプリーツスカート、華やかさの無い詰襟の男子制服に比べて女子の華やかなセーラー服に憧れていたのです。
僕が中学三年生の時に隣の席の伸子はショートカットの目がクリッとした子で密かに憧れている同級生の女の子でした。
その伸子が、クラスの仲の良かった女子と席で楽しそうに喋っていたのを聞き、耳を立てながら横を向いていたのですが、突然彼女達が僕に話し掛けて来たのです。
「ねぇ、山田(僕の名字)クンて、何か女性っぽいよね」
伸子がそう言うと一緒に喋っていた女子がクスクスと笑っていたのです。
確かに僕は大人しいし色白なので、女みたいだと言われて、からかわれた事があるのですが、まさか憧れている伸子に、そんな事言われる事が、とてもショックでした。
「セーラー服着たら似合うんじゃない?」
突然、そんな事を言われて、何かバカにされているようで無視しようと思ったのですが、伸子に嫌われたくないので、やんわりと答えました。
「嫌だよ、俺、男なのに女子の制服なんて着れるかよ」
「えー、でも似合うと思うんだけどなー。もし、着てみたいんだったら私の貸してあげるよ」
その言葉に僕はドキッとした。セーラー服を貸してあげるなんて、僕に好意を抱いているのではと感じたからだ。でも、僕は笑いながら返事をせず、その場をやり過ごしました。
それから数日後の放課後の事です。
この日の最後の授業が体育だったので、体操着のままで帰る者、制服に着替えて帰る者様々でしたが、この日、日直だった僕と伸子は、体操服のままで誰もいなくなった教室内に二人っきりで簡単な掃除とクラス日誌を記入していました。
そして、日直の作業を終え、教室の鍵を閉めて帰ろうとした時に校内放送で担任から伸子を職員室に来るように呼び出しがあったのです。
伸子は、トイレで着替えるつもりだったようで、制服を手に持っていたのですが、それと鞄を僕に預けたのです。
「悪いけど、これ持ってて」とセーラー服を僕に預けると走って職員室へ向かいました。
僕の手には伸子のセーラー服の上着とスカートが、ほのかに甘い香りが漂っていたのです。
僕は興奮が抑えられず、制服を鼻に押し当てて、思いっ切り匂いを嗅いだのです。
こうなると、もう歯止めが利きません。
伸子の鞄のチャックを開けてみると、白いレースのスリップが入っていたのです。
白く艶のあるツルツルした感触のスリップに鼻を押し当てると、伸子の甘い香りが顔いっぱいに広がりました。
(なんていい香りなんだ・・・)
僕は、セーラー服とスリップを交互に鼻に押し当て、伸子の香りを恍惚と満喫したのです。
そして、伸子が戻って来ると、僕は平静を装いつつ、サッとセーラー服と鞄を伸子に手渡しました。
「ありがとう山田くん。預かって貰って」
「いや、別にいいよ」
「何なら私を待ってる間にセーラー服着てたら良かったのに」
「えっ?そんな事する訳無いじゃん」
「冗談よ冗談、さっ帰ろ」
まさか待っている間に制服とスリップに鼻を押し当てて、匂いを嗅いでいた事など伸子は知る由も無いだろう。
セーラー服も着れるものならば着てみたい。
この事がきっかけで、セーラー服とスリップへの執着心がますます高まってしまうのでした。